adbコマンド 完全マスターガイド
ADBとは?
Android Debug Bridge (ADB)は、Androidデバイスと通信するためのコマンドラインツールです。開発者だけでなく、一般ユーザーにも役立つ強力なツールで、アプリのインストール、システム設定の変更、ログの収集など、様々な操作が可能になります。
このブログでは、主要なADBコマンドとそのオプション、使用タイミング、実践的な活用法を徹底解説します。
目次
1. ADBのセットアップ
ADBのインストール方法
ADBはAndroid SDKの一部としてインストールできます。以下の方法があります:
- Android Studio経由:Android Studioをインストールし、SDK Managerから「Android SDK Platform-Tools」をインストール
- 単体インストール:Android Platform Toolsからダウンロード
環境変数の設定
ADBコマンドをどこからでも実行できるように、Platform-Toolsのパスを環境変数に追加します:
Windows: PATH環境変数に「C:\Users\[ユーザー名]\AppData\Local\Android\sdk\platform-tools」を追加
Mac/Linux: ~/.bash_profile または ~/.zshrc に「export PATH=$PATH:~/Library/Android/sdk/platform-tools」を追加
2. 基本コマンド
adb devices
説明:接続されているすべてのAndroidデバイスを一覧表示します
オプション:
-l
:デバイスの詳細情報を表示
使用例:
$ adb devices List of devices attached ABCD123456 device 5647FGHIJK unauthorized
使うタイミング:ADBが正しく接続されているか確認したいとき、複数デバイス間で操作対象を確認したいとき
おすすめの使い方:作業開始時に必ず実行して、デバイスの接続状態を確認しましょう
adb start-server
説明:ADBサーバーを起動します
使用例:
$ adb start-server
使うタイミング:ADBサーバーが動作していない場合や、再起動したい場合
adb kill-server
説明:実行中のADBサーバーを停止します
使用例:
$ adb kill-server
使うタイミング:ADBの動作がおかしい場合、接続に問題がある場合、ポート競合が発生している場合
おすすめの使い方:ADBに問題が発生したら、kill-serverしてからstart-serverで再起動するのが基本的なトラブルシューティングです
adb version
説明:インストールされているADBのバージョン情報を表示します
使用例:
$ adb version Android Debug Bridge version 1.0.41 Version 31.0.3-7562133
使うタイミング:特定の機能が使えるか確認したいとき、バージョン依存の問題が発生したとき
adb help
説明:利用可能なADBコマンドとオプションのヘルプを表示します
使用例:
$ adb help
使うタイミング:コマンドの構文を忘れたとき、利用可能なオプションを確認したいとき
3. デバイス操作コマンド
adb reboot
説明:デバイスを再起動します
オプション:
bootloader
:ブートローダーモードで再起動recovery
:リカバリーモードで再起動sideload
:サイドロードモードで再起動sideload-auto-reboot
:サイドロード後に自動再起動
使用例:
$ adb reboot $ adb reboot recovery
使うタイミング:システム変更後の再起動、カスタムROMのインストール、リカバリーモードでの作業時
おすすめの使い方:システム設定を変更した後や、デバイスの動作がおかしい場合に使用します
adb root
説明:ADBデーモンをroot権限で再起動します
使用例:
$ adb root
使うタイミング:システムレベルのファイルにアクセスしたいとき、root権限が必要な操作を行うとき
注意点:この機能はroot化されたデバイスか、開発者向けビルド(userdebug/eng)でのみ動作します
adb usb
説明:ADB接続をUSBモードに切り替えます
使用例:
$ adb usb
使うタイミング:ワイヤレスADBから有線接続に戻したいとき
adb disable-verity
説明:dm-verityを無効化します(システムパーティションの変更を可能にする)
使用例:
$ adb disable-verity
使うタイミング:システムファイルを書き換えたいとき、システムアプリを変更したいとき
注意点:セキュリティリスクが増大するため、開発目的でのみ使用してください
adb get-state
説明:デバイスの現在の状態を取得します
使用例:
$ adb get-state
使うタイミング:スクリプト内でデバイスの状態をチェックしたいとき
返り値:device, offline, unauthorized などの状態を返します
adb get-serialno
説明:接続されているデバイスのシリアル番号を取得します
使用例:
$ adb get-serialno
使うタイミング:複数デバイスが接続されている環境でスクリプトを実行するとき、デバイスの識別が必要なとき
adb get-devpath
説明:デバイスのパス情報を取得します
使用例:
$ adb get-devpath
使うタイミング:低レベルUSB接続のトラブルシューティング時
4. アプリ関連コマンド
adb install
説明:APKファイルをデバイスにインストールします
オプション:
-r
:既存のアプリを置き換える(再インストール)-d
:ダウングレードを許可する(以前のバージョンに戻す)-s
:SDカードにインストール-g
:すべての権限を許可する-t
:テスト用APKのインストールを許可-k
:データを保持したままアップグレード-l
:転送ロックされたアプリをインストール
使用例:
$ adb install app.apk $ adb install -r app.apk $ adb install -d -r app.apk
使うタイミング:開発中のアプリをテストするとき、Google Playを使わずにアプリをインストールするとき
おすすめの使い方:-r
オプションを使うと開発中のアプリを何度も再インストールできて便利です
adb uninstall
説明:デバイスからアプリをアンインストールします
オプション:
-k
:データとキャッシュを保持する
使用例:
$ adb uninstall com.example.app $ adb uninstall -k com.example.app
使うタイミング:アプリのクリーンインストールが必要なとき、問題のあるアプリを削除するとき
おすすめの使い方:-k
オプションを使うと、アプリを再インストールしても設定やデータが残ります
adb shell pm list packages
説明:インストールされているすべてのパッケージを一覧表示します
オプション:
-f
:パッケージと関連APKファイルを表示-d
:無効化されたパッケージのみ表示-e
:有効化されたパッケージのみ表示-s
:システムパッケージのみ表示-3
:サードパーティのパッケージのみ表示-i
:パッケージとそのインストーラを表示-u
:アンインストールされたパッケージを含む
使用例:
$ adb shell pm list packages $ adb shell pm list packages -s $ adb shell pm list packages -3 $ adb shell pm list packages | grep facebook
使うタイミング:特定のアプリのパッケージ名を調べたいとき、インストール済みアプリの確認が必要なとき
おすすめの使い方:grep
と組み合わせて特定のアプリを検索すると便利です
adb shell pm clear
説明:アプリのデータをクリアします
使用例:
$ adb shell pm clear com.example.app
使うタイミング:アプリのデータをリセットしたいとき、アプリの動作がおかしいとき
おすすめの使い方:アプリをアンインストールせずに初期状態にリセットしたいときに使います
adb shell am start
説明:アクティビティを起動します
主なオプション:
-n
:コンポーネント名(package/activity)-a
:アクション(ACTION_VIEW など)-d
:データURI-t
:MIME タイプ-c
:カテゴリ-e
:extra データを追加(キーと値)
使用例:
$ adb shell am start -n com.example.app/.MainActivity $ adb shell am start -a android.intent.action.VIEW -d http://www.google.com
使うタイミング:特定のアクティビティを直接起動したいとき、ディープリンクをテストするとき
おすすめの使い方:テスト自動化や特定の画面へのクイックアクセスに役立ちます
adb shell am force-stop
説明:指定したパッケージのプロセスを強制停止します
使用例:
$ adb shell am force-stop com.example.app
使うタイミング:アプリが応答しないとき、クリーンなテスト環境が必要なとき
おすすめの使い方:パフォーマンステストの前にバックグラウンドプロセスをクリアするのに役立ちます
5. ファイル転送コマンド
adb push
説明:ローカルファイルをデバイスにコピーします
オプション:
-p
:進捗状況を表示-a
:レガシーadbプロトコルを使用-z
:圧縮を使用してデータを転送-n
:既存のファイルをスキップ
使用例:
$ adb push file.txt /sdcard/ $ adb push -p local_folder/ /sdcard/remote_folder/
使うタイミング:テストファイルのアップロード、設定ファイルの転送、アプリのアセット転送時
おすすめの使い方:-p
オプションを使うと大きなファイル転送時に進捗状況が確認できます
adb pull(続き)
おすすめの使い方:アプリのデータベースファイルを取得してローカルで分析したり、デバイスからログファイルを収集する際に非常に便利です。ワイルドカード(*)を使って複数ファイルを一度に取得することも可能です。
adb sync
説明:ローカルディレクトリとデバイスディレクトリを同期します
オプション:
-l
:ファイルのリストのみ表示(実際には同期しない)-n
:既存のファイルをスキップするdata
:/data ディレクトリのみ同期system
:/system ディレクトリのみ同期
使用例:
$ adb sync $ adb sync system $ adb sync -l data
使うタイミング:システムファイルの更新、開発中の大量ファイル転送時
おすすめの使い方:カスタムROMの開発や、システム全体の変更を効率的に同期する場合に利用します
6. shellコマンド
adb shell
説明:デバイス上でインタラクティブなシェルを起動します
使用例:
$ adb shell $ adb shell command args # 特定のコマンドを実行
使うタイミング:デバイス上で複数のコマンドを実行したいとき、システム内部を調査するとき
おすすめの使い方:単一コマンドの場合は直接引数として指定し、複数コマンドを実行したい場合はインタラクティブシェルを使用します
adb shell ls
説明:ディレクトリの内容を一覧表示します
主なオプション:
-l
:詳細情報を表示-a
:隠しファイルを含むすべてのファイルを表示-R
:再帰的にサブディレクトリも表示
使用例:
$ adb shell ls -l /sdcard/ $ adb shell ls -la /data/data/com.example.app/
使うタイミング:ファイル構造の確認、アプリのデータディレクトリ確認時
おすすめの使い方:-l
オプションで権限やサイズ、日付も確認できるので、問題解決に役立ちます
adb shell cat
説明:ファイルの内容を表示します
使用例:
$ adb shell cat /system/build.prop $ adb shell cat /data/data/com.example.app/files/config.json
使うタイミング:設定ファイル、ログファイル、テキストファイルの内容確認時
おすすめの使い方:grep
と組み合わせて特定の情報を抽出するのに便利です
$ adb shell cat /system/build.prop | grep "ro.product.model"
adb shell dumpsys
説明:システムサービスの詳細情報をダンプします
主なサービス:
activity
:アクティビティマネージャーの状態package
:パッケージ管理情報meminfo
:メモリ使用状況battery
:バッテリー統計connectivity
:ネットワーク接続情報wifi
:Wi-Fi情報alarm
:アラームマネージャー情報
使用例:
$ adb shell dumpsys battery $ adb shell dumpsys meminfo com.example.app $ adb shell dumpsys activity activities
使うタイミング:パフォーマンス問題の調査、バッテリー消費の分析、アプリのデバッグ時
おすすめの使い方:メモリリークを調査する場合はdumpsys meminfo
、バッテリー消費を確認するにはdumpsys battery
が便利です
adb shell settings
説明:システム設定を取得または変更します
主なコマンド:
get
:設定値を取得put
:設定値を変更list
:設定一覧を表示delete
:設定を削除
主な設定名前空間:
system
:システム設定secure
:セキュア設定global
:グローバル設定
使用例:
$ adb shell settings get system screen_brightness $ adb shell settings put system screen_brightness 125 $ adb shell settings list global
使うタイミング:自動化テスト、特定の設定下でのアプリ動作確認、開発中のデバイス設定変更時
おすすめの使い方:自動化スクリプトでデバイスを特定の状態に設定する際や、開発者向けオプションを有効化する場合に役立ちます
adb shell getprop / setprop
説明:システムプロパティを取得/設定します
使用例:
$ adb shell getprop ro.build.version.release $ adb shell setprop debug.force_rtl true
使うタイミング:デバイス情報の確認、デバッグプロパティの設定時
おすすめの使い方:getprop
単体で実行するとすべてのシステムプロパティが表示され、デバイスの詳細情報を確認できます
7. ネットワーク関連コマンド
adb connect
説明:ネットワーク経由でデバイスに接続します(ワイヤレスADB)
使用例:
$ adb connect 192.168.1.100:5555 $ adb connect 192.168.1.100
使うタイミング:USBケーブルなしでデバイスに接続したいとき、複数デバイスをリモートで操作するとき
おすすめの使い方:最初にUSB経由で以下のコマンドを実行してワイヤレスADBを有効化します:
$ adb tcpip 5555 $ adb connect 192.168.1.100:5555 # デバイスのIPアドレスを指定
adb disconnect
説明:ネットワーク接続されたデバイスの接続を解除します
使用例:
$ adb disconnect 192.168.1.100:5555 $ adb disconnect # すべての接続を解除
使うタイミング:ワイヤレス接続を終了したいとき、接続に問題があるときの再接続前
adb tcpip
説明:ADBサーバーをTCP/IPモードで再起動し、指定したポートで待ち受けます
使用例:
$ adb tcpip 5555
使うタイミング:ワイヤレスADB接続をセットアップするとき
おすすめの使い方:USB接続中に実行してから、USBケーブルを外し、adb connect
でワイヤレス接続します
adb forward
説明:ローカルポートからデバイスのポートへ転送を設定します
使用例:
$ adb forward tcp:8000 tcp:8000 $ adb forward tcp:8000 localabstract:mySocket
使うタイミング:デバイス上のサーバーにローカルからアクセスしたいとき、デバッグに必要なポート転送時
おすすめの使い方:Webアプリのデバッグや、カスタムサーバーとの通信テストに使用します
adb reverse
説明:デバイスのポートからローカルポートへの転送を設定します
使用例:
$ adb reverse tcp:8080 tcp:8080
使うタイミング:ローカルで動作しているサーバーにデバイスからアクセスしたいとき
おすすめの使い方:ReactネイティブやFlutterの開発時、ローカルのdevサーバーにデバイスからアクセスするのに便利です
adb ppp
説明:デバイスをPPPサーバーとして実行します
使用例:
$ adb ppp tty:serialport parameters
使うタイミング:デバイスの携帯ネットワークを介してPCをインターネットに接続したいとき(テザリング)
注意点:高度な使用方法で、キャリアによっては制限がある場合があります
8. 画面・入力関連コマンド
adb shell screencap
説明:スクリーンショットを撮影します
使用例:
$ adb shell screencap /sdcard/screenshot.png $ adb shell screencap -p > screenshot.png # 直接PCに保存
使うタイミング:UIテスト、バグレポート作成、自動化テスト時の画面キャプチャ
おすすめの使い方:パイプで直接PCに保存する方法が最も効率的です
adb shell screenrecord
説明:画面を動画として録画します
主なオプション:
--size WIDTHxHEIGHT
:解像度を指定--bit-rate RATE
:ビットレートを指定(Mbps)--time-limit TIME
:録画時間を制限(秒)--rotate
:90度回転--verbose
:詳細情報を表示
使用例:
$ adb shell screenrecord /sdcard/demo.mp4 $ adb shell screenrecord --time-limit 10 --bit-rate 6000000 /sdcard/high_quality.mp4
使うタイミング:アプリのデモ作成、バグの再現動画撮影、アプリ操作の記録
おすすめの使い方:--time-limit
オプションを使用して録画時間を制限し、--bit-rate
で品質を調整します
注意点:デフォルトでは3分(180秒)で自動終了します
adb shell input
説明:タッチ、キー入力、テキスト入力をシミュレートします
主なサブコマンド:
text
:テキストを入力keyevent
:キーイベントを送信tap
:特定の座標をタップswipe
:スワイプ操作を実行draganddrop
:ドラッグ&ドロップ操作を実行
使用例:
$ adb shell input text "Hello World" $ adb shell input keyevent 4 # 戻るキー $ adb shell input tap 500 500 $ adb shell input swipe 100 500 400 500 # 左から右へスワイプ
使うタイミング:UIの自動テスト、反復的な入力操作の自動化
おすすめの使い方:よく使うkeyeventコード:
- 3: ホームキー
- 4: 戻るキー
- 26: 電源キー
- 82: メニューキー
- 24/25: 音量上げる/下げる
adb shell wm
説明:ウィンドウマネージャーを操作します
主なサブコマンド:
size
:画面サイズの設定density
:画面密度の設定overscan
:オーバースキャンの設定dismiss-keyguard
:キーガードを解除
使用例:
$ adb shell wm size 1080x1920 $ adb shell wm density 320 $ adb shell wm size reset # リセット
使うタイミング:異なる画面サイズでのテスト、UI検証時
おすすめの使い方:異なるデバイスでのアプリの表示をシミュレートするのに役立ちます
adb shell cmd statusbar
説明:ステータスバーを操作します(Android 6.0以降)
使用例:
$ adb shell cmd statusbar expand-notifications # 通知パネルを展開 $ adb shell cmd statusbar expand-settings # クイック設定を展開 $ adb shell cmd statusbar collapse # 通知パネルを閉じる
使うタイミング:通知やクイック設定のテスト自動化
9. デバッグ関連コマンド
adb logcat
説明:システムログを表示/保存します
主なオプション:
-v
:出力フォーマット(brief, process, tag, thread, raw, time, threadtime, long)-d
:ログを表示して終了(ダンプモード)-c
:ログをクリア-b
:バッファを指定(main, system, radio, events, crash)-f
:ログをファイルに出力-s
:指定したタグでフィルタリング*:V
:ログレベル(V=Verbose, D=Debug, I=Info, W=Warning, E=Error, F=Fatal)
使用例:
$ adb logcat $ adb logcat -v time $ adb logcat -b all $ adb logcat -c && adb logcat # ログをクリアしてから取得 $ adb logcat -s ActivityManager:D MyApp:V *:S # 特定のタグのみ表示 $ adb logcat > logfile.txt # ファイルに保存
使うタイミング:アプリのデバッグ、クラッシュ解析、システムの挙動監視
おすすめの使い方:タグとログレベルを組み合わせてフィルタリングする方法が最も実用的です:
$ adb logcat ActivityManager:I MyApp:D *:S
上記は ActivityManager の Info レベル以上と MyApp の Debug レベル以上のログのみを表示し、他はすべて抑制(Silent)します。
adb bugreport(続き)
使用例:
$ adb bugreport $ adb bugreport bugreport.zip # Android 7.0以降
使うタイミング:開発者へバグを報告する際、システム全体の問題を調査する際
おすすめの使い方:問題発生直後に実行すると、最も有用な情報が得られます。Android 7.0以降では、zipファイルとして保存され、多くの診断情報が含まれています。
adb jdwp
説明:デバッグ可能なJavaプロセス(JDWP)の一覧を表示します
使用例:
$ adb jdwp
使うタイミング:アプリのデバッグセッションを設定する前
おすすめの使い方:プロセスIDを使用して特定のアプリにデバッガをアタッチできます:
$ adb forward tcp:8700 jdwp:PID $ jdb -connect com.sun.jdi.SocketAttach:hostname=localhost,port=8700
adb shell monkey
説明:ランダムなユーザーイベントを生成してストレステストを実行します
主なオプション:
-p
:特定のパッケージを対象にする-v
:詳細レベル(複数指定でより詳細になる)--throttle
:イベント間の遅延(ミリ秒)--pct-touch
:タッチイベントの割合--pct-motion
:動作イベントの割合--pct-nav
:ナビゲーションイベントの割合--pct-majornav
:主要ナビゲーションイベントの割合--pct-syskeys
:システムキーイベントの割合--pct-appswitch
:アプリ切り替えの割合--ignore-crashes
:クラッシュを無視して続行--ignore-timeouts
:タイムアウトを無視して続行--ignore-security-exceptions
:セキュリティ例外を無視--kill-process-after-error
:エラー後にプロセスを終了--monitor-native-crashes
:ネイティブクラッシュをモニター-s
:乱数生成の種(再現性のために使用)
使用例:
$ adb shell monkey -p com.example.app -v 500 $ adb shell monkey -p com.example.app --throttle 300 -v -v 1000 $ adb shell monkey -p com.example.app --pct-touch 70 --ignore-crashes 10000
使うタイミング:アプリの安定性テスト、ストレステスト、パフォーマンステスト
おすすめの使い方:数字は実行するイベント数を指定します。大量のイベントで長時間テストし、安定性を確認することができます。
adb shell dumpsys gfxinfo
説明:グラフィックス関連のパフォーマンス情報を取得します
使用例:
$ adb shell dumpsys gfxinfo com.example.app $ adb shell dumpsys gfxinfo com.example.app reset # 統計をリセット $ adb shell dumpsys gfxinfo com.example.app framestats # フレーム統計
使うタイミング:UIのパフォーマンス問題を診断するとき、アニメーションがスムーズでないとき
おすすめの使い方:特定の画面操作前後で実行し、差分を確認することで問題のある部分を特定できます
adb shell am trace-start / trace-stop
説明:システムトレースの記録を開始/停止します
使用例:
$ adb shell am trace-start --file /sdcard/mytrace.trace $ # アプリの操作を実行 $ adb shell am trace-stop
使うタイミング:パフォーマンスのボトルネックを特定するとき、システムレベルの挙動を分析するとき
おすすめの使い方:Android Studioのプロファイラと併用すると効果的です
10. 高度な活用法
アプリのテスト自動化
複数のADBコマンドを組み合わせて、アプリのテスト自動化が可能です:
#!/bin/bash # アプリを起動 adb shell am start -n com.example.app/.MainActivity # 少し待機 sleep 2 # テキスト入力 adb shell input text "testuser@example.com" # 次のフィールドにフォーカス移動 adb shell input keyevent 61 # Tab キー adb shell input text "password123" # ログイン adb shell input tap 500 800 # ログインボタンの座標 # スクリーンショット adb shell screencap /sdcard/login_result.png adb pull /sdcard/login_result.png .
おすすめの使い方:シェルスクリプトやPythonスクリプトで複数のADBコマンドを組み合わせ、繰り返し行うテストを自動化します
デバイス情報収集スクリプト
デバイスの詳細情報を一度に収集するスクリプト例:
#!/bin/bash echo "=== デバイス情報 ===" adb shell getprop ro.product.model adb shell getprop ro.product.manufacturer adb shell getprop ro.build.version.release adb shell getprop ro.build.version.sdk echo "=== ストレージ情報 ===" adb shell df -h echo "=== メモリ情報 ===" adb shell cat /proc/meminfo | head -5 echo "=== バッテリー情報 ===" adb shell dumpsys battery echo "=== インストール済みアプリ ===" adb shell pm list packages -3
おすすめの使い方:トラブルシューティングや、デバイス間の違いを比較する際に役立ちます
複数デバイスの操作
複数デバイスに対して同じ操作を行う方法:
#!/bin/bash # すべてのデバイスにアプリをインストール for device in $(adb devices | grep -v "List" | cut -f1) do echo "Installing on $device" adb -s $device install -r app.apk done # 特定のデバイスに対して操作 adb -s SERIAL_NUMBER shell input text "Hello"
おすすめの使い方:複数デバイスでのテスト効率化や、大量のデバイス設定を一括で行う場合に使用します
パフォーマンスモニタリング
アプリのパフォーマンスをリアルタイムでモニタリングするスクリプト例:
#!/bin/bash PACKAGE="com.example.app" while true do echo "=== $(date) ===" # CPUとメモリ使用量 adb shell dumpsys cpuinfo | grep $PACKAGE adb shell dumpsys meminfo $PACKAGE | grep -E "Total PSS:|Java Heap:" # フレームレート情報 adb shell dumpsys gfxinfo $PACKAGE | grep -A 3 "Janky frames" sleep 5 done
おすすめの使い方:アプリの最適化中にリアルタイムでパフォーマンス指標を確認したり、長時間のテストでリソース使用量の推移を記録できます
開発者向けショートカット集
頻繁に使う操作をエイリアスとして登録すると効率的です:
# .bashrc や .zshrc に追加 alias adb-restart='adb kill-server && adb start-server' alias adb-wifi='adb tcpip 5555 && echo "adb connect IP:5555 でワイヤレス接続できます"' alias adb-screenshot='adb shell screencap -p /sdcard/screen.png && adb pull /sdcard/screen.png && adb shell rm /sdcard/screen.png' alias adb-clear-app='adb shell pm clear' alias adb-top='adb shell top -m 10 -s cpu' alias adb-battery='adb shell dumpsys battery' alias adb-size='adb shell wm size' alias adb-density='adb shell wm density'
おすすめの使い方:よく使うコマンドや複雑なコマンドをエイリアスとして設定しておくと、日々の開発作業が格段に効率化します
まとめ
ADBは、Android開発において非常に強力なツールであり、様々な操作を効率化できます。この記事で紹介した基本コマンドから高度な活用法まで、ぜひ実践してAndroid開発やデバイス管理の作業効率を向上させてください。
特に覚えておくと便利なコマンド:
- adb devices:接続デバイスの確認
- adb install -r app.apk:アプリの再インストール
- adb shell pm clear PACKAGE:アプリデータのクリア
- adb logcat:リアルタイムログの確認
- adb shell screencap:スクリーンショットの取得
- adb shell input:タップやテキスト入力の自動化
- adb tcpip + adb connect:ワイヤレスデバッグの設定
ADBコマンドは常に進化しており、Androidの新バージョンではさらに多くの機能が追加されています。公式ドキュメントも定期的にチェックして、最新の情報を入手することをおすすめします。
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